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2004年10月20日

環境省:ごみ処理見直しへ素案報告 来春に基本方針改正

 環境省は、家庭から出るごみなど一般廃棄物の処理のあり方を見直すことを決め、素案を20日の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会に報告した。自治体によって扱いが分かれる廃プラスチックは可燃ごみとして焼却処分し、ごみの収集・処理は原則有料化する。ごみの排出を抑制し、最終処分場の延命を図るためだ。同省は廃棄物処理法に基づいて自治体のごみ処理の原則を定めた「基本方針」を来春改正、取り組みを後押しする。

 環境省によると、一般廃棄物の年間排出量は01年度が5468万トン。92年度に比べて378万トン(東京ドーム約10杯分)も増えた。減少傾向は見られず、全国の最終処分場の残余年数は約12年とひっ迫した状態だ。

 可燃ごみとするプラスチックは、容器包装リサイクル法の対象品目になっていないレジ袋やラップ類、樹脂製のおもちゃなどで、重量で一般廃棄物全体の約1割、体積で約4割を占める。都道府県庁所在地では横浜、京都、福岡など27市が可燃ごみ、名古屋、神戸など21市と東京23区が不燃ごみとして扱っている。

 素案は、これらの廃プラスチックを直接埋め立てず、焼却処分した熱を発電などに利用することが適当とした。家庭では生ごみや紙とラップ類などを分別する必要がなくなる。処分場の残余年数は数年延びる見通しだ。

 一方、回収用のごみ袋を有償にするなど、すでに自治体の約8割は一般ごみの収集・処理を有料化している。環境省によると、ごみの処理を有料化した人口10万人以上の23都市では、導入前は1人1日当たり1.11キロあったごみ排出量が、導入5年後には同0.97キロに減ったという。

 同省廃棄物対策課は「自治体の対応がバラバラでは、リサイクルも進めにくい。ごみ処理の原則を示すことで減量化を図りたい」と話している。【河内敏康】

 ◆処理現場や自治体の反応は…

 環境省が、一般廃棄物の処理のあり方を大幅に見直す方針を決めた。リサイクルに回せないプラスチックは可燃ごみとして焼却し、収集などは有料化する。ひっ迫する最終処分場の延命策だが、焼却については「住民のリサイクル意識の低下につながる」などの反発も出ている。処理の現場や自治体の反応を追った。

 ★掘り返しで延命

 新潟県巻町の丘陵地の一角、敷地面積6万平方メートルのごみ埋め立て処分場で、83年から18年間にわたって同町など4町村から持ち込まれた約8万2000立方メートルもの不燃ごみを掘り起す作業が続けられている。「賞味期限 86年12月」。こんな刻印が残るレトルト食品の袋が土の中からのぞく。

 同処分場は、4町村で作る衛生組合が運営。掘り起こされる1日平均16トンの不燃ごみは、隣の潟東村に02年に完成した溶融炉施設に運び込まれて焼却される。焼却後に出る1日平均6トンの集じん灰は、埋め立て処分場に再び埋め戻される。その差10トンの「節約」。5年ほど前に「あと3年で満杯になる」といわれた同処分場の延命策だ。事業は02年度から始まり、このペースなら「40年以上延命できる」(阿部昭・組合事務局長)と言う。

 課題もある。焼却後は集じん灰のほかに「スラグ」と呼ばれる砂状の固形物が出る。操業当初、これをカラーブロックに加工して販売する契約を業者と結んだが、事業は約4カ月でとん挫。行き場を失ったスラグが溶融炉施設に積み残される事態を招いた。新たに、路盤材として販売する契約を県内の業者から取り付けたが、商業ベースに乗るかどうか未知数だ。

 日本環境衛生センター(川崎市)によると、全国8カ所で掘り返しによるごみ処分場の再生事業を計画・実施している。

 環境省も今年度から処分場の再生にかかる事業費の4分の1を補助する制度を始めた。同省廃棄物対策課は「ノウハウを蓄積し、全国に普及させたい」と話す。【三枝泰一】

 ★戸惑う自治体

 プラスチック焼却はごみ減量化につながるが、分別収集に取り組む自治体には戸惑いもある。

 東京都の廃棄物審議会は今年5月、廃プラスチックの埋め立てをやめ、焼却による熱を発電などに利用すべきと、環境省より先に提言した。答申を受けた都は、埋め立てをしている東京23区に焼却への転換を求めた。

 だが、江東区の担当者は「焼却は有害物質が発生する恐れがあるので、埋め立てをしてきた。焼却への転換は住民の不安を招く」と反発する。

 名古屋市は99年、旧環境庁などの反対を受け、日本有数の渡り鳥の飛来地である藤前干潟を最終処分地として埋め立てる計画を断念した。翌年からごみを16種類に分別収集するなど、ごみ減量化に取り組んできた。

 しかし、02年度の不燃物埋め立て量は3万トンあり、処分場の寿命は10~50年と長くはない。同市ごみ減量部減量推進室の古谷伸比固室長は「プラスチックのリサイクルが無理なら、焼却という選択肢も出てくるが、リサイクルできるプラスチックもごみに回してしまえとならないか心配」と、市民のリサイクル意識の低下を危惧する。【奥村隆、山田夢留】

 ★生産者にも責任を

 廃プラスチックの焼却が可能になったのは、ダイオキシン対策に伴って大型焼却炉の整備が全国的に進んだからだ。環境省によると、全国の自治体の焼却能力は1日当たり約12万6000トン。焼却量は同約11万6000トンで、まだ余裕がある。同省は「最新の排出基準を満たした炉なら、ダイオキシンなどが発生する心配もない」と言う。

 だが、環境NGO「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク」事務局長の藤原寿和さんは「安全性の検討が不十分だ」と指摘する。

 ダイオキシンの発生抑制には高温でゴミを焼却する必要があるが、焼却に伴って数十万~数百万種類の化学物質が生成される。しかし、これらの物質の詳細な分析や測定はなされていない。

 旧環境庁を中心に00年に制定された循環型社会形成推進基本法は、製品の再使用や再生利用の推進を掲げ、熱回収は最後の手段とした。京都大環境保全センターの高月紘教授(廃棄物工学)は「ごみを減らすのなら、リサイクルしやすい商品開発の義務付けなど、生産者側の規制を強めるのが先決だ」と話す。【河内敏康】

毎日新聞 2004年10月20日

投稿者 eechance : 2004年10月20日 23:14

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